Keep on Scrappin' 〜名言・名曲のスクラップ帳〜

僕のスクラップブック から、グッとくる名言や名曲を脱線を交えてお届けします。

極言すれば研究とは全てオカルトである。「よくわからないもの」を分かろうとする営みだ。

 サンキュータツオ著『もっとヘンな論文』からのグッとフレーズです(4回目)。

 

 今回の論文は、前世の記憶「過去生」を持つ子供を学術的に調査した論文です。対象のTOMO君は、一歳でひら仮名よりもアルファベットに興味を持ち、2歳で9ヶ月で「Top Of The World」を上手に歌いました。同じ頃ひらがなよりも先にアルファベットを覚え、自分の名前を「TOMO」と書きました。4歳の頃から「ニンニクをむきたい」といい、この頃から「過去世」の記憶を語り出しました。「TOMO君と呼ばれる前はゲイリースという名前で、イギリスのお料理屋さんの子供やった」というので、お母さんが試しにニンニクを見せると、普段右利きのTOMOくんが左手でニンニクを剥きました。また同じ頃、地球儀を回してイギリスを指差し「TOMOくんこの辺に住んでいた」と語り、エジンバラと言う地名に住んでいたとも言いました。

 論文の筆者はこのデータを「記憶の強さを測る尺度」なるもので測ると、全体平均10.4のところ、12と言うやや高い数値が出ました。こうなればこの話の裏を取るしかあるまいと、家族はついにイギリスへ行くことになります。

 TOMO君が過去生として挙げていた「ゲイリース君」はエジンバラに実在したことを突き止めました。しかしながら、それ以外の料理屋のことや、9歳でなくなるまで入院していた病院も確認が取れませんでした。TOMOくんはエジンバラに到着した翌日に「お母さんを感じた、絶対にここにいるよ」と発言し、これをきっかけに過去生の記憶をなくしていきました。

 

現在、自閉症アスペルガー症候群として診断されている子たちの中には、こうした「過去世」で達成できなかった願望を口にすることで「空想癖」と診断されてしまう子たちもいるそうだ。

 

 オカルトに括られてもおかしくないこの論文の筆者である大門先生は、脳と意識の関わり、言語の起源などを研究分野とし、生まれ変わり現象を科学的に研究する日本の第一人者です。そして共同研究者は産婦人科医で「胎内記憶」について発表し話題になるなど、胎内記憶研究の第一人者として知られています。

 

 「胎内」という言葉が出たので話は少しだけ飛びますが、母体の中から産後の発育も含めて赤ちゃんに関することを全般に研究する「赤ちゃん学」と言う研究分野があります。僕はこの赤ちゃん学に大変興味を持ち、この学会の会員にもなっています。赤ちゃん学が赤ちゃんを研究するアプローチは一言で言えば「複雑系科学」といえます。複雑系とは数多くの要素で構成され、それぞれの構成要素が相互かつ複雑に絡み合ったシステムのことを言います。 また複雑系は個々の要素の振る舞いや局所的な要素の動乱がシステム全体に大きな影響を及ぼす非線形性、複雑で予測不可能な振る舞いの中にも一定の秩序が形成される自己組織化という特性をもちます。脳、生命現象、生態系、気象現象のほか、人間社会そのものが複雑系として挙げられます。ざっくり言えば、物事を単純に白黒で判断するのではなく、これまで見逃されてきたり測れなかったものを他分野の力を借りて測り直して、白黒の間にあるものに迫ったり、未来を予測したりする学問、となるでしょうか。

 さらに乱暴にも簡単にまとめると、赤ちゃん学では赤ちゃんの発達を複雑なものと捉え、その中にどのような秩序(個体間で何が共通していて、何が共通していない)があり、どのような(秩序からの)逸脱が予測できるかということを研究します。自閉症アスペルガーの研究も赤ちゃん学のテーマの一つに上がっています。

 赤ちゃん学では胎児の動作を4Dという画像技術で解析し、産後の赤ちゃんの発育と連続して研究されています。胎内記憶、過去生を語る子と、母胎時代の様子を照らし合わせることで見えてくるものがある…と考えるとワクワクしますね。

 

「研究にタブーは無い。現象を記述し、それがなぜ起きているのかと言う理由は、様々な角度から偏見なしで検討する。それから善悪や真偽を議論すればよい。」

 

 最近は情報過多の時代でありながらも、「効率化」や「時短」が好まれる世の中ではないでしょうか。沢山の情報に如何に短い時間で触れるかが競われているように思われます。

 この情報化社会の中にはいろんな人が存在しています。一つ一つ丁寧に情報に触れることができる人もいれば、情報の上っ面を片っ端から集めているだけの人もいる。触れた情報を偏見なしで統合できる人と、自分にとって都合の良い情報のみ統合する人。議論の最中に相手の意見に耳を傾けようとする人と、一方的に大声で持論を展開する人。

 是非若者達には文字でも音声でも絵画でも音楽でもいい、ゆっくり時間をかけて情報を味わう時間を持って欲しい。それから感じたこと、気づいたことを堂々と人に伝えて欲しい。

 そして自分の意見を行った後は、人の意見を聞くことを、例え相手が顔が見えない得体の知らない人であっても、「よくわからないもの」を分かろうとすることを楽しんで欲しいなと思います。